復刊タルワキ!

月刊タルワキは97年10月に創刊されたが、その前身には男色劇画作家・山田参助が95年に無責任編集・発行していた『戒王』という雑誌があるとされている。そして戒王の執筆者を引き抜いて結成されたのが垂脇書店である。垂脇書店は、創立後すぐ月刊タルワキを出版したわけではない。最初は『完全ドリフ映画本』というドリフターズ映画のパンフレットのような小冊子を刊行していた。やがて、サブカルミニコミとしてタルワキは創刊され、その名の通り創刊当時は、ミニコミには珍しく本当に月刊誌として毎月発行していた。そのうち2ヶ月~3ヶ月おきに刊行され、東京のサブカル・ミニコミ専門店タコシェでそこそこ話題となった。特に好評だったのが、増刊号として発行した『ギャガー』というちょっと豪華なミニコミだ。
↑これがギャガーだ
何が豪華って、ミニコミにもかかわらず、一冊に、なんと鴨川つばめや福耳ノボルなど、伝説の漫画家のインタビューが2本も収録されているのだ。クイックジャパン以来、公の場に姿を現さなかった鴨川つばめが現在の心境を語っているとあってか、今でもこの雑誌はヤフオクで高値で売られている。なぜ鴨川つばめ本人が、ミニコミのインタビューに登場したのかも謎だが、この雑誌を作っていた垂脇書店が現在どうなっているのかも謎だ。そこで顔画工房では、ドリフ映画本以降の垂脇書店刊行物のリストと共に、編集長でもあり、創立者でもある垂脇明の現在を追ってみた。
★垂脇書店 月刊タルワキ刊行物リスト(97~98年)
「空飛ぶホネ雑誌・月刊タルワキ」特集 川崎ゆきお/鴨川つばめ
「月刊タルワキ」2号・特集 エロ(ゲスト青山正明、長尾謙一郎ほか)
3号・特集 玉子焼き/ダウンタウン(ゲスト・鳥肌実ほか)
4号・特集 放送禁止/長野五輪
5号・特集 異常犯罪/岡本夏生(ゲスト・オノナツメほか)
6号・特集・藤子不二雄/泉昌之
7号・特集・貸本マンガほか※この号を最後に、2号から表紙に使われてきたキャラクターを売ってしまった垂脇編集長にクレームが入り、著作権を巡って騒動勃発。以後キャラが使用できなくなり、次号からリニューアルされる。
増刊号「ギャガー」特集 再び鴨川つばめ(本人登場)
○リニューアル後(99年~02年)
タルワキ第1巻・特集 吉本お笑い芸人
第2巻・特集 ルパン三世(ゲスト・小田島等ほか)
第3巻・特集 地方CM/シドニー五輪
増刊・ハッスルホイ!(編集・藤本和也)
第4巻 さよならタルワキ・特集 放送禁止大全集※最終巻を記念してタコシェでフェアが開催される。
この後、休刊宣言。数名の執筆者は「タルワキレディース」と呼ばれる女の子たちのミニコミ『ホノルルパフェ』や、尻プロダクションの三澤藏六の編集する同系統雑誌『ニッポン尻相撲狂時代』へと継続していくが、垂脇書店自体は事実上活動を停止する。
○その他
ビデオ『五郎と夜と音楽と』(01年)
…ここまでが大まかなタルワキの足跡である。しかし、今や垂脇書店のHPも閉鎖され、当時の住所は現在一般人のものとされていることから、どうやら垂脇書店は移転したものと思われる。
ここで注釈しておかなければならないことは、復刊についてのいきさつだ。確かにタルワキは創刊号のみ復刊している。遡れば、昨年、漫画家川崎ゆきおが出演したことでも話題になったイベント、ちんきの夕べにて三版が発売された。しかしこれは、顔画工房が現在垂脇書店出版物を取り仕切る関係者の許可を得て自費出版したもの、ハッスルも同様である。
垂脇本人は02年の休刊後、行方をくらまし、副編集長ら、ごく親しい身内にも連絡が取れなくなる。しかし、05年7月新宿ロフトプラスワンで開催された尻祭9に、1コーナーのゲストで登場。失踪の原因は謎のままだったが、約3年ぶりに副編集長(現・尻プロ雇われ監督)とのツーショットが実現した。
垂脇明は現在玩具メーカーに勤めている。
月刊タルワキ創刊号は、07年9・16(日)『ハッスルタルワキナイト』(よるのひるね)にて復刻販売いたします。お楽しみに。
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